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Fig-7 Bending Angle VS. Weld Amperage

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Fig-8 Fatigue Test of Reinforced Bar

溶接鉄筋網同士が接合されるため、現行の基準類2)に適合しない。基準では原則的に一断面での重ね継手を疲労強度の低下、破壊に至るじん性の低下などの観点から許していない。しかしこの基準を遵守すると配筋のための省力化は容易ではない。
これらの課題を解決するために、溶接鉄筋の物理的な特性と溶接鉄筋網を使用した接合部を有するコンクリート梁の力学的性状を調べた結果についてここでは述べる。
(2)溶接鉄筋網の物理試験3).4)
試験体は鉄筋を縦筋と横筋に組合わせて交差部の1ヶ所をアーク溶接を行って製作した。溶接の熱影響が鉄筋におよぼす影響が大きいため、あらかじめ予備試験を行って適切な溶接条件を決定した。決定された溶接条件は溶接時間3sec、溶接電流150Aである。これらの試験体を対象に溶接部の強度、母材への溶接熱影響、疲労強度の低下などを調べるために以下の試験を行った。
?引張試験?曲げ試験?溶接部引張試験?溶接部せん断試験?硬度試験?疲労試験および?耐久性試験
Fig-7に曲げ試験で得られた曲げ角度と溶接電流の関係を示す。鉄筋径の組合せは縦筋にD19、横筋にD16を使用した。溶接時間2secの場合、溶接電流に関係なく概ね良好な曲げ特性を有していたが、溶接電流が大きくなるほど曲げ角度の性能が低下する傾向があった。
Fig-8に溶接電流150A、溶接時間2secおよび3secの場合の疲労試験結果を示す。載荷の応力振幅は約120〜330N/mm2の範囲で200万回まで繰返し載荷を行った。図中にコンクリート標準示方書に示されている鉄筋の設計疲労強度5)を示す。応力振幅が約230N/mm2以下の領域では設計疲労強度を下回った。また溶接箇所のない単鉄筋と比較した場合、溶接された鉄筋網は最大で25〜35%ほど設計疲労強度が低下した。同示方書では溶接された鉄筋の疲労強度は50%までは低下する可能性がある5)と指摘しているが、今回のアーク溶接鉄筋網の疲労強度は50%まで低下しなかった。
(3)溶接鉄筋組を使用したコンクリート梁試験
溶接鉄筋網は施工の容易さを考慮して1断面で鉄筋同士が接合される。今回3種類(タイプA〜C)の接合形式を選定し、この接合部の梁部材を対象に静的曲げ載荷試験、せん断裁荷試験および疲労試験を行った。試験方法と試験体の概要をFig-9およびFi-10に示す。今回用いた溶接鉄筋の溶接方法は抵抗溶接により行った。

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Fig-9 Bending and Shear Loading Test

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Fig-10 Bar Arrangement of Test Specimen

 

 

 

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